漆喰の効能について

まず日本の新築住宅の現場から言いますと9割以上の内装材でビニールクロスが使用されています。これには深い理由があります。一般的に単価的な問題や昔の安い左官壁材のイメージが原因でビニールクロスが主流になってると思われがちですがそれは大きな間違いです

日本の政治的な背景が原因にあるのです。日本は石油産業の支配下に置かれているていると言ってもおかしくはありません。衣食住を見渡せば天然材料のものは淘汰され石油資源の物が中心となっていきました。衣類に関しては綿花、絹、麻などはレーヨンやポリエステルがほとんどです。国産の天然素材の洋服を探すのは困難を極めます。食に関しては、もはや農業では農薬、除草剤、化学肥料、ビニール無しでは生産するノウハウが無いと言ってもおかしくありません。食品添加物に関してもほとんどが石油由来のものです。そして建築はどうかと思えば新築一棟立てるのにドラム缶1つほどの石油が必要となってしまいました。このような天然資源使用の衰退は”国策”であり石油産業が大企業となって政治と結びついている背景があります。化成企業が建築をコントロールしているのです。それがメディアのスポンサーになり個人経営の工務店などの手抜き工事事件を過大に騒ぎ立てて地域の建築屋の衰退の道筋を作り出しました。その代わりスポンサー企業の手抜き工事などはすべて隠蔽されています。新築物件の家の香りが木の香りから新車のような匂いに変わってしまったのです。

このような天然資源の衰退は消費者にとってはメリットが少ないのです。衣食住の石油産業への移り代わりは深刻な問題となっています。環境破壊、病気増加、輸入依存、地域コミュニティーの破壊など現代日本の大きな問題であり、率先して考えて行かなければならない問題となっています。日本の資源は美しい自然であり人であることは間違いありません。このまま破壊と再生を繰り返す建築はもう限界が近いと思います。木や土は再生可能エネルギーなので使えば使うほど循環して行くのです。漆喰の原料となる石灰も100パーセント国産です。自給できています。日本は石灰が豊富です。

湿度の高いアジアの家屋の内装はほとんど漆喰です。実は日本だけなんです使わなくなったのは、湿度の高い日本には土や漆喰壁が必要なのです。神社仏閣で感じるあの凜とした空気感は漆喰がもたらしています。漆喰の効能は日本には必要不可欠です。調湿効果や常在菌との結びつきで自然に近い空間が生まれます。

私は一左官職人として天然資源の使用をお勧めします。それは自然の中に住むためには大切なことだと思います。